失業保険と健康保険、扶養
1.失業保険と健康保険
会社を退職し、失業保険の給付を受ける方は、その場合、健康保険はどうなるのか疑問に思う方もいると思います。
日本では、国民皆保険制度を採っていて、誰もがいずれかの医療保険制度に加入することになっています。
会社を退職して、失業保険の受給が決定した場合は、今まで加入していた健康保険から脱退することになりますので、国民健康保険へ加入する必要があります。
失業保険受給者の国民健康保険の加入手続きは、お住まいの市町村窓口で行ってください。
この手続きは、被保険者保険の被保険者資格を喪失した日より14日以内に行う必要がありますので、注意してください。
その際、被保険者保険の資格を喪失した証明書を用意してください。
新たに国民健康保険の被保険者証が交付されることになります。
また、失業保険の受給期間が終了し、再就職した場合には、国民健康保険の脱退手続が必要になります。
失業保険受給者が国民健康保険に加入した場合、これまで被用者保険の被扶養者であった方も、国民健康保険に加入することになります。
扶養者の加入手続きによって、被扶養者の方も国民健康保険に加入したことになります。
国民健康保険の保険料は、お住まいの市区町村により違いがありますので、詳しくは管轄の窓口へ問い合わせてみてください。
途中加入した場合には、国民健康保険の資格が発生した日の月より保険料を納めます。
失業保険の給付が決定した方は、退職により、これまでの収入がまったく無くなるわけですから、国民健康保険の支払いが家計を圧迫することもあるかと思います。
失業保険の受給者は、退職により健康保険の被保険者である資格を失いますが、これまでの健康保険の被保険者期間が2ヶ月以上あった場合には、引き続き2年間、個人で被保険者になることが可能です。
健康保険の任意継続被保険者といいます。
健康保険の任意継続被保険者となるには、資格を失ってから20日以内に健康保険任意継続被保険者資格取得申請書を住所地の社会保険事務所や健康保険組合に提出する必要があります。
健康保険の保険料は全額自己負担となり、保険料を納付期限内に納付書によって納めないと、その翌日に資格を失ってしまいますので注意してください。
失業保険の受給資格が決定した方は、健康保険の手続きを忘れずに行うよう心がけておきましょう。
2.失業保険と扶養の関係
会社を退職して、失業保険の給付を受けようと思っている主婦の中には、失業保険と扶養の関係で疑問を持っている人も多いようです。
よく聞くのは、失業保険を受けると、夫の扶養に入れるのか、ということです。
扶養には、健康保険上の扶養、税法上の扶養と、二通りの意味が含まれています。
税金上の扶養という考え方ですが、これは1月から12月の1年間の収入を元にして考えます。
失業保険については、所得税上では非課税の扱いとなりますので、考慮する必要はありません。
ご自身の収入が103万円以下であれば、所得税上扶養に入ることは可能となります。
なお、通勤交通費は所得計算には含まれません。
失業保険と健康保険上の扶養
では、健康保険上では失業保険受給中も扶養に入れるでしょうか。
これは、ケースにより様々です。
年収が130万円未満で被保険者の年収の半分未満であれば、健康保険上の扶養に入れるという基準があります。
こちらのケースでは、失業保険も収入計算に含まれますので注意してください。
ちなみに通勤のための交通費も収入として計算してください。
年間130万円の収入を失業保険の基本手当日額に計算してみると、日額3,612円となります。
つまり、失業保険の基本手当日額が3,612円以下の方は、失業保険の給付を受けていても、夫の健康保険の扶養に入ることが可能になります。
逆に、失業保険の基本手当日額が3,612円以上ある方は、扶養に入れないことになり、自分で国民年金、国民健康保険に加入する必要が出てきます。
結婚退職と扶養
結婚退職後、失業保険の給付を受けようと思っている方も、基本的には上記と同じく失業保険の基本手当日額により、扶養に入れるかどうかが判断されます。
ただ、ここで注意したいのは、失業保険はあくまでも就労の意思と能力がある方を対象にした生活補助金ということです。
そのため、結婚退職と同時に妊娠し、しばらく仕事に就くことができない方、退職後は専業主婦になろう考えている方などは、失業保険の受給資格がないということになります。
これからの人生設計を家族と相談した上で、仕事に就くかどうか考えてみてください。