雇用保険と受給資格
1.雇用保険の制度について
雇用保険の制度は、労働者の生活と雇用の安定、求職者の就職の促進を目的とした雇用保険法に定められた制度で、国によって運営されています。
具体的には、被保険者で一定資格を満たす人が失業した場合に、基本手当が支給されたり、就職のための資格を得るために教育訓練を受けることができたりします。
雇用保険の制度は、強制保険制度であり、一部例外を除き労働者を1人でも雇っている事業は、原則としてこの制度が適応されます。
雇用保険というと、基本手当の支給など失業時の受給ばかりに目がいってしまいますが、雇用保険の制度としては、雇用の拡大や労働者の能力の向上、労働者への福祉の増進などといったことも制度として盛り込まれています。
雇用保険は、国庫と保険料で賄われています。
保険料は、原則として事業者と労働者が折半して負担することになっています。
雇用保険の制度<加入資格>と<受給資格>
雇用保険の加入資格は以下の通りとなります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・1年以上の勤務が見込まれる場合
平成19年の雇用保険法の改正により、この条件を満たす場合は、パートやアルバイトも被保険者となる必要があります。
雇用保険の受給資格は以下の通りとなります。
・離職日から以前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日を以上の月が12ヶ月以上ある
ただしこれらの資格を満たしていても、基本手当ての支給は就職を目指す人のためであり、すぐに就職が困難な場合、例えば出産や育児のための離職や病気や怪我といった場合にはすぐに受給を受けることができません。
雇用保険の制度<受給期間の延長>
出産や育児、病気やケガにより雇用保険の給付をすぐに受けることが出来ない場合には、受給期間の延長ということができます。
雇用保険の受給期間は原則として離職翌日から1年間となっていますが、下記の理由により30日間以上引き続き働くことができなかった場合には、その日数分だけ受給期間を延長することができます。
・妊娠や出産、育児(3歳未満)
・本人の病気、ケガ
・親族等の看護
・海外勤務する配偶者に同行
・公的機関が行うボランティアなどの海外派遣
延長できる期間は、最大で3年間となっています。
2.雇用保険の受給資格
雇用保険の受給資格は、一定期間雇用保険に加入している被保険者であることが第一条件となりますが、このほかに「離職日以前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あること」が資格者としての条件となります。
一定期間雇用保険に加入していて、上記の条件を満たしているのなら、派遣もパートもアルバイトも基本手当などの受給資格があります。
また特定受給資格者については、離職日以前の1年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上ある場合に受給が可能です。
特定受給資格者とは、倒産や解雇による離職や人員整理による希望退職に応じての退職などになります。
基本手当の受給には、ハローワークに求職の申込みをすることが必要です。
上記の受給資格を満たしており、働く意思と能力があるにもかかわらず就職ができない場合にのみ基本手当の受給がなされます。
したがって妊娠や出産、病気やケガなどすぐに就職することができないときには、受給することができません。
ただしこういった場合は、受給の延長を申請することができます。
ハローワークへの求職の申込みには「離職票」が必要となります。
離職の際に必ずもらうようにしましょう。
受給資格が確認されたあと、受給説明会が行われ、そこで雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡されます。
以前は、一般被保険者(主にフルタイマーの正社員や派遣など)と短時間労働者(パートやアルバイトなど)で雇用保険の受給資格も違っていたのですが、平成19年に雇用保険法の一部改正がにより、その差も撤廃されています。
雇用保険の受給資格期間
雇用保険の受給資格期間は、離職日の年齢、離職の理由、雇用保険の被保険者であった期間に応じて決まってきます。
期間は90日~360日となっています。
また自己都合による離職ではなく、倒産や解雇などの会社都合による離職の場合は、給付日数が考慮される場合もあります。
雇用保険の基本手当の所定給付日数については、ハローワークのホームページなどで、自分で調べることもできます。
雇用保険の受給期間中に、アルバイトなどで収入を得た場合は、失業認定申告書に偽り無く記入し、申告する必要があります。
虚偽の申告をすると、不正支給となり、以降の基本手当の支給がされなくなります。