偶然の転職活動
1.偶然の転職活動
職業訓練校で勉強をすることを決心はしていましたが、やはり正社員としての仕事にありつきたいというのが本当のところです。
そのため、細々ながら転職活動は続けていました。
そんな中、ある求人を見つけたのですが、どうしようか悩みに悩みました。
なぜならば、前職と同じ業界の仕事だったからです。
いや、正確には、全く同じとは言い切れないのですが、恐らくは、前職と似た仕事であろうと思われるのです。
前職ではさんざんな目に遭ったために、もう二度と同じ業界の仕事はやらないぞという思いで転職活動に挑んできました。
それだけに悩みに悩みました。
しかし、とりあえずは面接を受けてみることにしたのです。
転職活動において、自分が持っているほとんど唯一の武器といえば、前職で苦労に苦労を重ねて身につけた技術。
その技術を生かせるとすれば、やはり同じような業界でしかありえないのです。
苦渋の決断でした。
今回、面接を受けるにあたって、逆に、私からも会社を面接してやるつもりでいました。
もし、前職と同じような雰囲気が漂う会社であれば断ればいいと思ったのです。
最寄りの駅から降りて、会社に向かっていると、ビックリ仰天!!
どこかで見たことがあると思ったら、ついこの間、面接を受けた会社の近くだったのです。
以前述べました、履歴書が良すぎて落とされた会社の近くだったのです。
この会社で働きたかったなあと思いながらも、もう少し先にある、今回面接を受ける会社に向かって歩きました。
そうしたら、またまたビックリ仰天!!
それも、先ほどのビックリ仰天!!とはレベルが違うのです。
建物を見ると結構立派なビル。しかし、ビックリしたのは、そんなことではありません。
このビルに何だか見覚えがあるのです。記憶の紐を解いてみるとだんだんと分かってきました。
ここの会社、昔訪れたことがあったんです。今から3年前の転職活動の際にも、この会社に面接を受けに来たことがあったんです。なんたる偶然!!
2.2度目の面接
会社の中に入ると、まずは応接室へ。
この部屋も見覚えがありますし、禿げた頭の面接官の方にも見覚えがありました。
やはりココへは昔訪れたことがあったんだと確信致しました。
昔は全くの未経験での面接。しかも、あの当時は次から次へと面接希望者が訪れて来たということもあって、結局は全くの無駄足となりました。
しかし、今回は前職で経験を積んだ上での面接。
しかも、ライバルはわずか3名。
恐らく今回は経験者のみと限定したのでしょう。
これは今までになく当選確率が高いぞ!!と期待を胸に面接に挑みました。
この会社を選んだ理由や、前の会社を辞めた理由等、ありきたりな質問による面接を受けた後、社内の見学をしました。
第一印象としては、予想を覆し、とても綺麗だというとです。
同じ業界であった前の会社では少々埃っぽかったため、どこも同じであろうと考えていたのです。
これだけでも非常に驚きました。
私がこの業界に抱いていたいわゆる3Kというイメージとは全く異なっていたのです。
私が前の会社で使っていた機械もココで目にすることができました。
しかしよく見ると全然違うのです。
こちらの方が最新式でしかも綺麗。当然のことながらこの機械に関心を抱き、いろいろと質問をしてみました。
すると何もかも簡単に作業が出来るということが分かってきました。
やはり最新鋭の機械はいいものです。
前の会社で苦労したのがバカみたいに思えたほどです。
工場見学が終わり、応接室へ戻りました。
すると、そこには見慣れぬおじさんが。面接官のおっちゃんが、「この方は社長です。」と。思わずビビッてしまったと同時に、すかさず挨拶をしました。
それから社長の口から給料の話が。
「給料はどの位を希望していますか。」
この質問はある意味答え方が非常に難しい。
低すぎても高すぎても変に思われるだろうから。とりあえずは、
「20万円くらいを希望しています。」
と言ったのですが、すかさず、
「総支給額なのですか?それとも手取り額なのですか?」
と突っ込まれてしまいました。
「総支給額です。」
あちらが期待しているであろう返事をしました。
まさに心理戦といった感じです。年齢を考えると低い額ではありますが、前の会社では給料に関しては地獄を見ましたので、これでもどうってことはありません。
今回の面接での結果は、後日電話で知らせるとのことでした。
それにしても、給料の件ひとつとってみても、ここまで具体的に話しが進んだのは今までの面接ではなかったことです。
これはひょっとするとひょっとするぞ。