解雇について
解雇について
●解雇(法18条の2)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
●ポイント
ある解雇が有効か無効かと言う争いについては、最終的には裁判官の判断に委ねられています。
その判断は、解雇理由が合理的であり、かつ、一般社会において解雇処分が妥当であると認められる程の解雇理由が存在するかどうかで決まります。
基本的には、解雇理由の合理性又は社会相当性のいずれかが欠けている様な場合は、解雇無効となります。
●解雇制限(法19条)
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。
ただし、使用者が、第81条の規定によって *打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり行政官庁の認定を受けた場合においては、この限りでない。
●ポイント
解雇制限期間(原則)
・「業務上傷病による休業期間+その後30日間」は解雇できません。
・「産前産後休業期間+その後30日間」も解雇できません。
解雇制限の解除(例外)
・使用者が打切補償を支払った場合
・天災等により事業の継続が不可能+行政官庁の認定があった場合
この2つのケースに該当すると解雇制限期間中であっても解雇することができます。
●*打切補償(法81条)
療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分を支払い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。
なお、業務上の傷病により療養中であっても、1日も休業していなければ、解雇制限の規定は適用されません。
派遣労働者の場合、解雇の規制は、派遣元事業主に及びます。
したがって、派遣先事業主が解雇制限期間中に労働者派遣契約を解約しても派遣先事業主には解雇の規制は及びません。(派遣労働者の解雇規制は派遣先事業主でなく、派遣元事業主が決めるということです。)
●解雇の予告(法20条)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合(いずれの場合も行政官庁の認定が必要)においては、この限りでない。
この予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
●ポイント
適正に解雇予告をした後、解雇予告期間満了前に労働者が業務上傷病のため休業をした場合は、解雇制限が適用されるため、解雇制限期間中は解雇できません。
解雇予告と同時に労働者を休業させた場合、休業期間中については休業手当(平均賃金の60%以上)の支払義務は生じますが、解雇予告期間満了時に労働契約は終了します。
解雇予告手当は、解雇の申し渡しと同時に支払わなければならなりません。
この場合、もし労働者がその受領を拒否した場合は、これを法務局へ供託することができます。
使用者は、解雇予告を一方的に取り消しにすることはできません。
ただし、労働者が自由な判断の基にその解雇予告の取消に同意した場合は、取り消すことができます。
●解雇予告の適用除外(法21条)
解雇予告の規定は、次のいずれかに該当する労働者については適用しない。
・日日雇い入れられる労働者
・2箇月以内の期間を定めて使用される労働者
・季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される労働者
・試の使用期間中の労働者
ただし、次の場合は、解雇予告が必要です。
・日日雇い入れられる者が1箇月を超えて引き続き使用される場合
・2箇月以内の期間を定めて使用される者又は季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者が所定の期間を超えて引き続き使用される場合
・試用期間中の者が14日を超えて引き続き使用される場合