面接官ビックリ
1.面接官ビックリ
転職活動は困難を極めました。
一体どれだけの会社に応募したのか数え切れない位です。
また、応募しても、門前払いを食って面接さえさせてもらえなかった会社も相当ありました。
そうなった一番の理由の多くは恐らく年齢でしょう。
35歳での転職活動は本当に大変です。
さて、そんな中から私がとても印象に残った転職活動をお話したいと思います。
まずは、ある製造関連の会社。
主にある有名企業の商品を取り扱っているようで、工場経験のある私にとっては、やっていけるのではないかと思ったのです。
早速、ハローワークの職員の方に面接を受けたいとお話し、電話をかけてもらいました。
しかし、意外や意外、どうやら電話の向こうでは「うーん。家から会社までが遠いですね。」と言っているようで、面接することに対して躊躇しているようなんです。
私としては本当に意外でした。同じ県内で、しかも1時間程度の所。田舎に住んでいる私としては、1時間ではまずまずの距離なんだけど・・・。「面接だけでも一度お願いしますよ。」とハローワークの職員の方が必死でお願いしてくれて、どうにか面接までこぎつけることが出来ました。
が、通勤時間のことをあちらがこだわっていたことが気になり、これはなんとかしなければと対策を練ることにしました。
そこで、私が考えた秘策とは・・・、面接会場である会社まで、自転車に乗って出掛けることにしたのです。
ほとんど毎日のように自転車で往復2時間かけてハローワークに行っている私にとっては、どうってことはありません。
と思っていたのですが、自転車では片道なんと2時間近く、往復では4時間弱もかかってしまったのです。
しかも、途中ではおなかが痛くなってしまい、JRの駅にあるトイレを借りる始末。
さすがに家に戻った時はヘトヘトになってしまいましたね。
でも、その甲斐あって、面接官の方は、「まさか自転車で来られるなんて予想外だなあ。」とビックリされていました。
さて、肝心の給料の件ですが、19万円と明示されました。
年齢を考えると世間的にははっきり言って安すぎるのでしょうが、前職の給料が悲惨だった私にとっては、これでも決してそうは思わなかったのです。
しかし、いくら給料を明示されても、そもそもここで働かせてもらえるのかどうかが最も肝心なところ。
と考えていたところ、「ガーン!」・・・突然、鉄の棒のようなもので頭を打たれて、真っ暗になった気分になったのです。
面接官の言った何気ない言葉が原因です。「面接を受けた方は既に数100人近くとなっていて、そこから採用するのは1人です。」と。
結局、自転車で面接官を驚かせただけでした。
2.最高の履歴書で失敗
転職活動にてどうしても忘れられない思い出となった会社の第2弾。
ここもまたある製造会社です。
なんでも金属表面処理の会社とか。
そういう業界については私にとって全くの未知の世界。
ハローワークの求人票をよく見てみると、従業員がたったの6人となっているではありませんか。
なんだか不安な気もしないではないのですが、あまりえり好みはしてられません。
善は急げで、すぐに職員の方にお願いをして、この会社に面接依頼の電話をかけてもらいました。
しかし、前回お話した時と同様に通勤時間のことで、会社の方が面接をするのに躊躇してしまっているようです。
さらに35歳という年齢、業界未経験であるというこでさらに追い打ちをかけてしまったようです。
私の力ではどうにもならないことばかり。
これはもうダメだとあきらめかけていたのですが、またまた職員の方が必死でお願いをしてくれて、なんとか面接にこぎつけることが出来ました。
こんなにマイナスの面があったにも関わらず、よくもまあ覆せたものだと驚きました。
さすがプロと言いたい。
しかし、当然のことながら、時間が経つにつれて、面接を受けに行っても、どうせ時間の無駄で終わるんじゃないかというあきらめの心境に陥ってきたのです。
気が進まないながらも、
「どうせ暇なんだし」
と自分に言い聞かせて、面接時に提出するための履歴書と職務経歴書を仕上げることにしました。
多くのマイナス面を補うがごとく、今までになくぎっしりと書き込んでやりました。
ようやく出来上がったのを見直してみると、今までになく実に良い出来栄えで、少々自信を取り戻しました。
「これならばなんとか面接を有利に進めることが出来るぞ。」
この会社までは1時間半もかかってしまいました。
(少々遠いが仕方がないか。)
と既に転職先がここに決まったかのような思いでいました。
それくらい履歴書と職務経歴書の出来栄えに自信があったのです。
さて、会社については予想していた通り小さな建物でした。
奥に入って行ってすぐに社長と面接。社長がまず口にしたのは、
「今回の社員募集は2人です。この前面接に来てくれた人は経験者だったということもあって、その場で採用しました。従って、後1人なのですが、既にかなりの方と面接を済ませていて、どの方を採用するのかは有る程度絞っている段階で、あなたとの面接で最後するつもりです。」
と。前回に引き続き、また1人だけかい。ガックリ・・・。
もうほとんどあきらめかけてましたが、まだ最後の望みの履歴書と職務経歴書があります。社長がそれらに目を通すと、
「うーん」
とうなっていました。
「これはすごい。今までいろんな方の履歴書を見てきましたが、あなたが一番の出来ですね。しかもパソコンを使って、ご丁寧に職務経歴書まで作成されたのには、努力の跡がうかがえますね。過去に何度か転職を繰り返されてきたようですが、誰にでも納得出来るような転職理由がきちんと書き込まれていて、なるほどなあと思いました。」
かすかな希望の光が見えて来ました。
しかし、その後に続く言葉には唖然としました。
「しかし、これほどすばらしい履歴書や職務経歴書を書かれる位のあなたでしたら、わざわざこの業界で働かなくとも他で十分にやっていけると思いますよ。この業界でやっていくなんてちょっともったいないな。」
履歴書や職務経歴書が良すぎたために、かえって不採用になるなんて・・・。