賃金、休業手当について
賃金、休業手当について
●平均賃金(法12条)
平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額。
平均賃金算出計算式:
算定事由発生日以前3箇月間の賃金総額÷その期間の総日数
●ポイント
条文では、「以前3箇月間」とありますが、運用上は算定事由発生日の前日からさかのぼって3箇月を計算するので、算定事由発生日は含めません。
算定事由発生日を含めると平均賃金の額が下がってしまう場合があるので、労働者が有利になるための措置が施されているようです。
上記の期間は、賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算します。
控除期間、控除賃金
●控除期間
平均賃金の算定期間中に、次に該当する期間がある場合は、その日数及びその期間中の賃金は、その期間及び賃金の総額から控除します。
業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
産前産後の女性が第65条の規定により休業した期間
使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間
育児休業期間又は、介護休業期間
試みの使用期間
●控除賃金
賃金の総額には、次に該当するものは算入しません。
臨時に支払われた賃金
三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
●ポイント
通勤定期券については、賃金総額に算入します。
三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金とは、年3回までのボーナスを指します。
通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものとは、法令又は労働協約に別段の定められているものを指します。
雇入後3箇月に満たない者については、雇入後の期間で算定します。
年次有給休暇を取得した日については、平均賃金の算定からは控除しません。
●休業手当(法26条)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
●ポイント
全部休業と一部休業の場合の下記のような最低保障があります。
・全部休業:平均賃金×60%
・一部休業:(平均賃金×60%)?その日の賃金
就業規則、労働協約、労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する必要はありません。
使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないものは次の通りです。
・天災等、不可抗力による休業
・ロックアウトによる休業(正当な争議行為に限ります。)
休業手当の支払の時期は、通常の賃金支払日に支払うべきものとされています。
派遣労働者を使用者の責めによる事由で休業させた場合、休業手当の支払義務は、派遣元事業主にあります。
●類似用語
休業補償(法76条)
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、その療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。